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エビフライ5 [日記]

エビフライって好きですか?
よく食べますか?
たまに食べますか?
最後にはやっぱり選ばないですか?


嫉妬は世界一醜い感情だ。
カレーライスになんか嫉妬はしないって決めてみても、
やっぱり自分に自信がなくて、
エビフライなんか食べてもらえない気がして、
たまにだって食べてもらえない気がして、
自分がなぜエビフライなんかになっちゃったのか、
悩んだり悔やんだりもしたけど、
でも、仲間のエビフライとふたりで寄り添ったり、
ハンバーグと手をつないだりしながら、
嫉妬も覚え、
エビフライとしての気持ちを強く強く持ち、
自信をつけてきたんだよね。
自分らしく、自分らしくって。
ただただ最高に美味しいエビフライを目指して。


賞味期限という言葉を知っていますか?


食べられなくなる消費期限とはちょっと違う、
1番美味しく食べられる期限。
美味しいのは今かもしれないと、
なんとなく意識して、
次に出逢う人に食べてもらわなければならないと少し焦り、
結果、賞味されることに、臆病になる。
もう美味しい期間は終わってる???


自分が恋をすることで、
自分が真剣に恋をすることで、
少しの幸せと、たくさんの不幸をいっぱいいっぱい見て、
もう、自分には無理だと思ってた。
恋って人間を幸せにするものじゃない?
この世の中には、実らない恋もそりゃぁたっくさんあるけど、
でも、どんな恋も、どんなに小さな恋でも、
その恋の存在の意味ってきっとあって、
誰かを強く大きくしたりするために生まれるんじゃないかなと思う。
でも、自分のした恋の結末のたいていが、
とんでもなくて、
もう自分がこの世からいなくなるしかないなぁ~と思っていたんだ。
恋ってものはやっぱり、ふたりで、ふたりのためにしなくてはいけないのか。
まだ生きてていいのかなぁ~私。


このエビフライも、
いよいよ消費期限がきて、廃棄処分だ。


そんな私に神様はご褒美をくれた。


好きになった人からもらった、
たったひとつの好きですという言葉。


彼のおなかは満たされていた。
幸せに満ち溢れ、輝いている。
彼はとても美味しそうに食べる人だ。
あんな人に食べてもらうのが幸せなんだろうな。
私はぼーっと見ていた。
いつの間にか。
エビフライはあんまり好きそうにも見えなくて、
食べてもらいたいと思ったこともなくて、
だからずっと見ていた。
ただ見ていたかった。
おしゃれな優しいロールキャベツか、
家庭的なほっこりおでんか、
若さ溢れる焼肉とかを食べて、
たぶん、おなかがいっぱいになっていた。


そんな人から、ふいにもらった、
好きという言葉。


エビフライが好きです。


その好きという言葉の力に私は震えた。
まっすぐなまなざしとまっすぐな気持ち。
カレーライスやハンバーグとくらべてどうなのか、
そういうのではなくて。
そんなことはどうでもよくて。
たとえ、それが、けっして実らない恋でも、
その気持ちと言葉の存在が、私にどれだけ、生きる力を与えてくれたか。


こんなエビフライですけど、好きになってくれるんですか?


食べてもらうことがすべてではない。
胃袋に入りたいんじゃなくて、
私はあなたの唇を見ていたい。
好きといってくれたその唇を。
いつまでも。
遠くから。


私は恋するエビフライ。
フライフライフライ。
どこまでもどこまでも飛んでいって、
賞味期限も消費期限も飛び越えて、
最後は、消えてなくなるの。


人と出逢うことも、
生きることも怖くなくなる。
だって、生きていれば、ふいに、
こんなふうに、人と出逢い、
こんなに幸せな気持ちになれるのだから。


エビフライでよかった。
私もあなたが好き。     つづく



初めて読んだ方にはわけのわからないこのエビフライ。
いうまでもなく、妄想の世界です。
2000年12月、2002年12月、2004年1月、
2006年6月と書いてきたこのシリーズ。4年ぶりになってしまいました。
年月が経ったわりには・・・な文章。数年後に第6弾を。(独り言)


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