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舞台というもの

ここで文章を書き始めて12年になる。
たぶん。
それくらい。
もうひとつブログがあって、
そこには、毎日のように、写真を載せながら、
その日にあったことや、
飲んだお酒のこととか、
とても楽しく日記を書いているのだけど、
そして別の場所では、
思ったことを日々つぶやいたりもしてるけど、
ここは私のくだらないこだわりで、
その日にあった出来事を書く日記ではないものを、
書きたいときにだけ書く場所にしようと決めていて。
この3ヶ月、何度も何度も途中まで書いては、
やっぱり今は書けないな、と思ったりしてた。

読んでくれるあなたへ。
ご無沙汰してます。
私はここにいます。
心配かけてごめんなさい。

いつも、公演が終わったら、
その役とここでお別れするために、
文章を必ず書いていたのだけれど、
初めて、それが書けないという時間がやってきて。

劇団で女優をずっとやってきて、
それはそれはいろんなことがあったんだけど、
そのたびにいろんな気持ちになるんだけど、
そのたびに乗り越えてきたんだけど、
その公演は終わってからもなんだかとても悔しくて。
苦しくて。
でも、大切で忘れられない公演。
すてきな思い出。
一緒にたたかった仲間との絆はずっと消えない。
忘れない。
あの渦の中にいた者でなければ、
この痛みや恐怖はわかりあえなかったから。

ものすごく重たいものを勝手に背負って、
勝手に苦しんだりしたけど、
ひどく勝手になんだけど、
でも、重たいって人に話して軽くしてもらったり、
背負ったものをこれからは、
誰か別の人に背負ってもらおうって決めたり、
つまり、弱音をはいたり、逃げたりしたら、
とてもとても、らくになって、
考え方を変えて、
さぁ、また今日も舞台に立とう、
またみんなで舞台を作ろう、
生きようって思えた。

その次に私が挑んだ公演は、
再演で、劇団の古典で、
伝統があって、憧れもあって、
これで、自分がまたへこたれたら、
もう、未練はない、なんて思ってた。
役者なんて、毎回これが最後かもって思わざるを得ない職業で、
私もいつも思っていて、
そんな風に思いながら演じている人はたくさんいると思うけど。
いろんな意味で、すっきりと、
自分の中で何か答えが出そうな、
何かをつかめる、
もしくは、何もつかめない感じがしてた。

でも、終わって感じたことは、
始まる前の予想とは、全然違ったんだ。
芝居って、ひとりで何かを背負う必要のないものなんだなぁって。
共演者を輝かせることができることが、
作品を輝かせることができることが、
1番大切なことだと激しく感じた。
いや、もともと、自分なんかが輝くために女優を始めたわけではない私が、
何をやろうとしてたんだか。
何ができないと感じていたのか。

もちろん、お金をいただいてみせる芸術だからこそ、
精神がむちゃくちゃになるほどに、
舞台に立つひとりひとりの責任というものを、
しっかり感じなくてはいけないのだけれど。
たくさんのお客さまに、
自分のことも評価していただいて、
共演者のことも評価していただいて、
とにかくおもしろかったと言っていただいて、
自分が舞台に立っていいんだって心から思えて、
短期間で作る大変さはあったけど、
私はとても元気になった。
ありがとうございました。

そして、今、またみんなで、
ひとつのものを生み出そうともがいている。
少しでも作品の力になれるように、
それだけのために、毎日を生きている。

なんでこんなこと書いてるかっていうと、
またこんなこと書いては、
人に心配されたりするんだけど、
私の職業は役者なんだけど、
あなただって、人生は舞台だから。
生きる場所の舞台があって、
役割があって、
共演者がいて、
責任があって、
批判があって、
こわいものでしょ、舞台って。
こわいものでしょ、人生って。

苦しくなったら、
どうか、逃げてみてください。
おもいきって、とおくのほうに。
きっと、だいじょうぶ。
だいじょうぶになるから。

自分が輝けなくても、
誰かがあなたのおかげで、
輝くの。
それが、舞台。
みんなで作るものだから。
音楽と光に助けてもらいながら。
自分ひとりが何かを背負い、
自分ひとりが輝く必要なんてない。

私はそう思う。
舞台に立ち続ける限り、
生きている限り、
誰かのために何かができる。  つづく

7月が終わる。いよいよ夏の公演がはじまる。(独り言)
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