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デパート [日記]

みきちゃん、最近、男が変わったからねぇ。


公演中、楽屋で隣の席だった先輩女優さんに、
毎日のようにからかわれていた。


なぜそんなことを言われるのかというと、
最近、ちょっと洋服の感じが変わったから、だって。
男、変わってませんよ。
っていうと、ずっとお付き合いしている人がいるみたいだけど、
・・・・・・
ってどんどん、切ない方向に話がいくからやめるけど、
とにかく、新しい男が出来たから洋服の趣味が変わるなんて、
そんなヤワな私ではない。


種明かしをすると、去年の始め頃、
以前からたまに買っていたブランドの、
デパートに入っているお店の、店長さんとお友達になったのである。
そして、しょちゅうお店に遊びに行っては、
コレ着てみろ、アレ新作だ、
と、いろんな服を試着しまくり、買いまくるという、
なかなか楽しいストレス発散方法を覚えてしまったのだ。


私は幼い頃から、良いものを長く着るという親に育てられてきた。
だから、洋服を買うという習慣は、ほとんどなかった。
姉と一緒に暮らしていた頃は、
姉が飽きたものをもらうという、いわゆる、おさがり。
あとは、姉の服を借りたり、一緒に所有したりと、
お金をかけずに、便利に過ごしてきた。


洋服って面白い。
ドアを開けて玄関を飛び出た時に、
カラフルな気分になれる。
私は職業柄、いろんなキャラクターにあわせて、
いろんな衣裳が着られる。
逆に、冒険するのはそれで満足してしまって、
普段は、着心地のいい、安心できるものを長く着ていたりしたけど、
店長と友達になってからは、
着たことないと思うけど、こんなのも絶対に似合うからって挑戦したり、
コレは絶対にイメージに合うから1枚、持ってなさいとか言われたり。
私のワードローブを知り尽くしているから、
コレは持ってるから、もう買わなくていいとか、
アレとコレをあわせて、こんな着方も出来るしとか、
お店で過ごす時間が、楽しくって仕方がない。


この間、店長が舞台を観に来てくれた。
いつもと逆の立場。
楽しんでくれたかな。


そんな店長のお店が、リニューアル。
先日、オープン前のデパートの内覧会ってものに初めて行ってきた。
いやぁ~~~すごい。
デパート万歳。
東京初のパン屋さんやら、日本発のジェラート屋さんやら、
いろんなものがきらきらしている。
京都にしかお店がない大好きな手ぬぐい屋さんが、
東京に初進出していて、
うれしかったり、さみしかったり。
京都に行く必要がなくなった・・・・・・。


店長のお店もどどーんと広くなって、
すごいことになっていた。
そのデパートにどのブランドも、すっごく力を入れてるみたいで、
店長もきっとプレッシャーだろう。
これからも売り上げに貢献します。


スタバに行ったら、
店員さんに、全員、すごい人たちを集めているらしく、
ばりっと黒いエプロンをつけていて、
接客のすばらしい夢のスタバだった。


そういう現場を見ると、
私達も、お客さんを、ばしっと楽しませることに、
高い志を持って、頑張らないといかんなと思う。
デパートに負けるな、キャラメルボックス。
行けば、ストレス発散できる、夢の場所。


また男が変わったの?と思われるくらい、
いつも新しいことに挑戦していたい。 つづく


今日、オープン。すごい人だろうな。店長、頑張れ。(独り言)



親と姉弟と家族と [日記]


私は本を読むのが好きだ。
映画を観に行くより、ゲームをするより、
本を読むことが、好き。
好きなお茶を飲みながら、ページをめくっていくことが、
何よりも好きかもしれない。


好きな作家さんはどんどん増えるけど、
最初から好きだった作家さんのひとりだった。


恩田陸。


恩田さんの世界は、すごい。
いろんな色をした世界に連れて行ってくれる。
その中のひとつ、常野物語に生きることができた。


それだけで。


長い真っ黒な髪。
冷たい流し目。
大人びた声。


恩田陸原作の舞台、夢のよう。
少しでも、記実子に近づきたくて、
この公演のために髪の毛を伸ばしてきた。
恩田さんの小説の中の言葉のかけらを探す。


端正な白い顔。
凛とした声。落ち着いた声。
母親のような顔。
のちに、少女の高潔さと大人になりつつある女性の色香とを、
微妙なバランスで持ち合わせた高校生に成長する。
お母さんも美人でさ、休みの日にはみんなで紅茶とか飲んでるんだよ、
とクラスメイトに噂される少女の両親は、その頃、
この世にはいないのだろうか。


毎ステージ、常野の世界で、
光の子供を演じることができ、
本当に幸せだった。
どんなふうに演じようか、わくわくして、
もっともっと記実子になりたくて、
どのステージも違う記実子に進化し続けてしまった。


もう1度、みんなにこの言葉を味わってほしくて、
「光の帝国」の原作の中の、
恩田さんの素敵な言葉をここに書きたい。
この台詞を言えることに、本当に感激した。
役者をやっていてよかった。
すべての出逢いにありがとう。


「僕たちは、光の子供だ。
どこにでも、光はあたる。
光のあたるところには草が生え、風が吹き、
生きとしい生けるものは呼吸する。
それは、どこででも、誰にでもそうだ。
でも、誰かのためにでもないし、誰かのおかげというわけじゃない。
僕たちは、無理やり生まれさせられたのでもなければ、
間違って生まれてきたのでもない。
それは、光があたっているということと同じように、
やがては風が吹き始め、花が実をつけるのと同じように、
そういうふうに、ずっとずっと前から決まっている決まりなのだ。
僕たちは、草に頬ずりし、風に髪をまかせ、
くだものをもいで食べ、星と夜明けを夢見ながらこの世界で暮らそう。
そして、いつかこのまばゆい光の生まれたところに、
みんなで手をつないで帰ろう」


みんなみんな、光の子供だ。
間違って生まれてくることもないし、
誰かのためにでも、おかげでもない。
光があたっているということと同じように前から決まっていることなんだ。
このお祈りの言葉を、ずっとずっと忘れずに、
こころにしまって生きていきたいと思う。


忘れない人がいたら、どんなに幸せでどんなに苦しいだろう。
記実子たちは、人の人生をもまるごと記憶できる力の持ち主。
その人の生きている間の感情もすべて。
自分の感情ですらすべて覚えていることは辛いことなのに、
何人もの人の記憶を、人類が存在した頃からの分すべて、
しまい続けて生きる人々が、この世界のどこかにいたとしたら・・・・・・。


私にはそんな力はもちろんない。
だからこそ、誰かのことを、強く記憶して、
こころにしまって、生きていきたいと思う。


いつも、舞台の上で、
両親役のふたりの笑顔を、かみしめていた。
いつか、笑顔を見られなくなるということ。


いつも、舞台の上で、
弟役の、笑顔を守ろうと思った。
笑顔を助け、笑顔に助けられ。


私にも大切な家族がいる。
幸せな家庭に育った。
守られて幸せに育ったことにより、
女優として、プラスのことはたぶんない。
そんなあまったれたお嬢ちゃんが、
何を舞台の上で表現できるんだ、と言われるだろう。
でも、舞台が好きだという、誰にも負けないエネルギーは持っている。
その私のエネルギーの源は間違いなく家族だろう。


たったひとりの姉が結婚した。
自分のことのように、幸せで、嬉しい。
兄ができた。
ずっとずっとずっと3人姉弟だったので、
まさか兄弟が増えるとは思ってもみなかった。
笑顔を守るために、姉弟で協力して、
生きていきたいと思う。


長い間、「道路交通情報センターの岡内」を応援してくださった皆様、
本当にありがとうございました。
姉に代わってお礼を言わせていただきます。
今月いっぱいは、神村という名前で、
千葉方面の情報を中心に、ラジオに出演しています。
寿退社です。


おねえ、おめでとう。


どこかで、誰かが泣き、
どこかで、誰かが笑う世界。
自分にしまえることは、しっかりしまって、
こころに響かせて、
光があることを忘れずに、
祈りながら、
みんなで助け合って、支え合って、生きていこう。


僕たちは光の子供だから。  つづく


春田記実子ちゃん、すばらしい世界を響かせてくれてありがとう。(独り言)


笑進笑明の約束 [日記]

1年前に出逢ったときにした、
高知に必ず逢いに行くという約束。
その約束が実現する前に、
彼が高知から東京にやってきたのは去年の11月。
その時に、彼と初めて逢い、話すことができた。
彼の指が描いた文字。


やくそく


私の心にはその4文字が深く深く刻まれてた。
いつでも、どんなときにも、心に。


長い休みに入って1番に行きたい場所は、
温泉でも、海外でもなく、
もちろん四国の高知だった。
逢いに行くならば、
彼がストリートで書を書く活動をしているところに行きたい。


日浦駿介くんは20歳の男の子。
男の子って年じゃないか。
でも、私とちょうどひとまわりも年が離れているから。
って言うと、しゅんくんは必ず、怒る。
年のことは言うな、
いくつになっても未来はあるし、
人を想う気持ちは変わらんって。
しゅんくんは、進行性の難病と闘っている。
ってことは、ここに過去、もう2度も書いているからね。


もしも、ってことはありえないし、
想像しても意味がないんだけど、
もしも、その個性が彼になかったとしたら・・・・・・
なかったとしても、私は彼の書に惹かれただろう。
でも、彼が書を書くことを決めたのは、
その個性があるからで、
そうしたら、やっぱり、私は彼のその個性に惹かれたのかな。
病気だ、とか、身体が動かないから、ってことは、
しゅんくんとコミュニケーションをとっているとうっかり忘れてしまう。
しゅんくんに同情なんて全く生まれない。
これは、きれいごとじゃなくて、
自分の小ささに、自分の方が人から同情される身だなと感じてしまうから。
とにかく、そのまんまの今の、
しゅんくんが生み出す言葉が好き。
私は、彼の言葉が好き。
それだけ。


ストリートライブライティング、略してSLWを、
4月にやると教えてくれた瞬間に、
私の心は高知に飛んで行った。
慌てて、飛行機の便やらホテルを決めて、
高知のことが全くわからないから、ガイドブックを買い、
まずは、空港の位置、ホテルの位置、SLWをやる公園の位置をつかむ。
知らない場所に行くのが大好き。
まだまだだなって思うから。
仕事をいっぱいして、日本中、世界中に行ってみたい。
この世界には、たくさんの素敵な人が生きている。
って、思わせてくれたのも、
しゅんくんだったな。


高知の陽射しは強かった。
迎えてくれた高知弁はあったかかった。
風はとても優しかった。
予定時間を30分もオーバーする2時間半、
しゅんくんは、ずっと筆を動かしていた。
左手の中指にくくりつけた筆からは、
圧倒的な言葉が生まれ続けた。


2時間の芝居を観るような。
2時間のライブを聴いているような。
頑張らないと、涙が出る。


その中指は2時間半で、紫色に変色していった。
だんだんと腕が上がらなくなるし、
思った通りには色紙の上に描けていないんじゃないかと、
心配をしてみたくなったりする。
でも、一緒に活動しているパートナーさんに、
視線で合図を送り、
色紙の、筆を下ろす位置に妥協はない。
アーティストだなと思う。


目の前に座るお客さんは、さまざまだ。
じっと座っていられない子供から、
私達の人生の先輩であるおばあさんまで。
子供を何人も抱えたお母さん。
同じ車椅子の子。


しゅんくんはどんな言葉を描くのだろう。


一文字書き始めても、一行終わっても、
なかなか想像できない。
なぜなら、その辺に転がってるありきたりな言葉ではないから。
だから、色紙いっぱいに、言葉が広がり、世界が広がり、
仕上げに、パートナーがはんこがぽんと押すと、
どばーって感動が押し寄せてくる。
筆一本で、この男は、人の心を揺り動かす。
その才能を心からうらやましいと思う。
ね、同情なんてところから、彼はかけ離れたところにいるでしょう。


最後の最後に、私もお金を払って、
しゅんくんの前に座った。
たくさんの人に書いてきたため、体力的にも、
限界のところだったかもしれない。
でも、しゅんくんは、今じゃないと意味がないって。
しゅんくんといると、今、を意識する。


まず、しゅんくんは私を見て、
そして、しばらくの間、空を見るんだよ。


それが結構長い時間だから、
あとで、あれは何を思ってるの?書く言葉を考えたり、
色紙に描くイメージをつかんだり?って聞いたら、
こうしん
って書いて笑った。
いったい、どっからきたんだろ、この大きな人は。


美喜子が向かう未来に何も恐れることはない


私がしゅんくんにもらった言葉。
額を買ってきて、東京の自分の部屋の、
1番見えるところに、飾ってある。
色紙は、一緒に飛行機に乗って、高知から帰ってきた。
私の一人暮らしの部屋の持ち物に、
静かに、色紙が1枚増えた。
そのことがどれだけ大きいかは、私だけのもの。


しゅんくんがアーティストとして生きるために、
しゅんくんのまわりにはたくさんの人がいる。
彼が生きるため、
高知弁のあっかるいあったかいご家族が、
彼の一部となって存在している。
いつも笑顔のほんわかお父さん、
明るいエネルギー爆発の学校の先生のお母さん、
優しいオーラの病院で働くお姉ちゃん。
3人のことが大好きなんだよな。
私の目標。
私の尊敬する人たち。
3人の名前の最後を足すと、美、喜、子になる。
発見したとき、すっごーーーく嬉しくなった。
神様は知っていたの?
同じ時代に生きられて、出逢えて、よかった。


高知でしゅんくんとたくさん話すことが出来た。
私が喋り、彼は指で文字を書く。
いろんなことを話した。
まだまだ足りないけど、それは未来の楽しみ。


コミュニケーションの手段には、いろいろある。
外国人となら、外国語、
耳の聞こえない人とは、手話、っていうことの他にも、
ジェスチャーだったり、表情だったり、
人と人が出会って、こころを通わせるために、
そのふたりにあった手段がある。


しゅんくんは、思ってもみないことを言う。
私は笑わされてばかり。
筆談なんて、そんなに難しくないと思うだろうけど、
想像も出来ないことを書くから、なかなかわかんなくって、
それがまた面白い。
笑いの絶えない会話になる。
しゅんくんと話していて、あらためて、ひらがなの形の美しさを感じた。
別れ際に、筆談はもう完璧だなんて話したけど、
でも、私の苦手は 「と」 だね、と言ってふたりで爆笑した。
たったの46文字に点々と、まると、のばす棒だけなのに、
最初はなかなか難しかった。
ほんのちょっとの指先の動きで表現する言葉たち。
「あ」とか「な」とか「た」とか「お」とか、その存在はすごく覚えているのに、
すぐに「と」の存在を忘れる。
「て」?とか、「ひ」?とか「い」?とか、
逆に「け」とか「そ」?までいってしまい、
やっと、「と」だぁ~~~!ってことになる。
「ど」なんて私にはすっごい難しい。
「で」?「び」?ってね。
でも、これでもう「と」は完璧だよ。


次の約束が決まった。
今度は私の舞台を観に来てくれること。
メールで話をするようになってから、1年、
いよいよ実現するかもしれない。


今までは、誰かのためにというよりは、
劇団に入団したからには、
自分の役割をまっとうしようということで精一杯で、
がむしゃらに12年間、舞台に立ってきたような気がする。
私は舞台が好きだから、
違うことをやりたいと思ったことは1度もなかったけど、
もう舞台に立つには、エネルギー切れだと思ったことは何度もあった。
でも、今は、しゅんくんに観てもらうという、
でっかいでっかい目標がある。
しゅんくんには書があるように、
私には舞台しかない。
毎日、自分を磨いて磨いて、
舞台の上の私を観てもらうために、
何が何でも、やらねば。


恐れることは何もないから。


かつおのたたきは美味しかった。
しゅんくんが私の飲んでる日本酒を、
のませて、と言ったこと。
口にちょっと入れただけで、
おとなのあじ、とまずそうにして笑ったこと。
一緒に歩いて一緒に食べた、日曜市。
車椅子を押して、一緒に見た桂浜。


また高知に帰るき、待っちょってや。
私も笑進笑明で、舞台に立つ。
私の大切な友達。
ありがとう。     つづく


書きたいことがまだまだたくさんある高知の旅。(独り言)


 


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